2025年は、「心地よさ」と「自己表現」のバランスが取れたカラーパレットが強く意識されている年。社会的にも不確実性が続く中で、人々は安心感を求めつつ、自分らしさを色で表現したいという欲求が高まっているようです。下記はその中で特に注目されている色と特徴です。
Mocha Mousse(モカ・ムース)――あたたかくて洗練された茶系のニュートラル
- 特徴:Pantoneの2025年の色“Mocha Mousse”。ココアやチョコレート、コーヒーを連想させる暖かみのあるブラウン。こっくりしているけど重すぎず、落ち着きと高級感を併せ持つ色。
- 来ている理由:安心感や安定感を視覚的に伝えられることが評価されている。ナチュラル志向、サステナビリティ、地球とのつながりといったテーマがファッションにおいても重要になってきており、土っぽさや自然素材を感じさせる色が支持されているため。
- 着こなしのヒント:
- モノトーンやオフホワイト・ベージュとの組み合わせで、柔らかな印象を保つ。
- レザー/ウール/スエードなど質感を活かして、深みを出すアイテムで取り入れると◎。
- ブラックよりも軽やかに見せたいアウターやバッグ、小物で使うのがおすすめ。
パウダーピンク/ライトピンク系――優しさと繊細さの象徴
- 特徴:“Powder Pink” や “Tea Rose” など、強いピンクではなく繊細で淡いトーン。春‐夏は軽やか、秋‐冬でも淡さを引きずる形で継続中。
- 来ている理由:フェミニンでありながらも過度に甘すぎない、バランス感。感情的なオフの日や、時代の疲れを癒す色として求められている。インフルエンサーやデザイナーからの支持が強く、メディアでも多く見かける色。
- 着こなしのヒント:
- パウダーピンクのブラウス + デニムやネイビーのボトムでカジュアル&上品に。
- 全体をワントーンでまとめて柔らかさを強調する。
- 革小物やアクセでコントラスト(例えば、ダークブラウン/チャコール)を加えると引き締まる。
ビビッド・暖色系アクセント ― Chili Pepper Red などの鮮烈色
- 特徴:サーモンレッド、チリペッパーレッドのような強い暖色が、アクセントカラーとして多用されている。全身モノクロームの中にひとさじ入れる色、または小物で取り入れる形で。
- 来ている理由:エネルギーを感じさせる色が、人々の「前向きでいたい」という気持ちをサポート。ビッグなイベントや外出が増えるタイミングで、目を引く色が欲しいというニーズに応えている。
- 着こなしのヒント:
- アウターやシューズ、バッグなどで部分的に使い、全体の印象をジャキっと締める。
- ネイビーやチャコールグレー、ブラックとの組み合わせでシックに。
- コントラストを活かして、アイシャドウやネイルにも取り入れるとファッションに統一感が生まれる。
グリーンとパステルブルー系 ― 自然との共鳴とクールな清涼感
- 特徴:フェーン・グリーン(Fern Green/草の緑)、アイシーブルー(Icy Blue)など、自然を感じさせる色。春夏なら透け感や薄手素材で、秋冬ならコートやニットで存在感を。
- 来ている理由:気候変動やサステナブルデザインへの関心の高まりとともに、「自然」「再生」「癒し」というテーマがファッションに反映されているため。青系はクールダウンの意味もあり、視覚的にも落ち着く色。
- 着こなしのヒント:
- パステルブルーのトップス + 白やライトグレーで爽やかに。
- グリーンはアーストーンと組み合わせてナチュラルな雰囲気に。
- 金属アクセやパールなどで光を加えて、クールさと洗練さをミックス。
リッチ・ニュートラル(豊かな中性的トーン)――チョコレートブラウン、ベージュ、ブラウン‐グレー系
- 特徴:トーンが落ち着いていて、性別を問わず使いやすいニュートラルカラー。ディープブラウン、ベージュ、ライトベージュ、ブラウン‐グレーなど。モード感がありながら日常にも馴染む。
- 来ている理由:過去数シーズンの派手な色使いの反動として、落ち着いた安心できる色への回帰。持続可能なワードローブを意識する人が増えて、“流行りだから買う”ではなく“長く着られる色・素材”が重視されるようになっている。
- 着こなしのヒント:
- モノトーン風にブラウン系で統一することで、ラグジュアリー感を演出。
- ベージュやクリーム色と組み合わせて明るさを出す。
- 異素材ミックス(ウール、レザー、サテン、ニット)で陰影と奥行きをつける。
総合まとめと私見
2025年のカラーは、「安心感」と「遊び心」の両立がキーワード。温かいブラウン系がベースとして多数のブランドで押されていて、その上に淡いピンクやブルー、もしくは鮮やかな赤などが“気晴らしのスパイス”として効かされるスタイルが多いようです。
私個人の感想としては、この流れは非常に好きです。というのも、過去数年のファッションはパンデミックとか経済の揺らぎとかで「派手さ」に疲れたところがあって、でもまったく地味というわけでもない“優しい表現”をしてくれる色が来てくれているという安心感があるから。色で“守られている感じ”がある。だからこそ、アイテム選びでも素材感や色の深み・質感を重視することがより大事になってくるなと思います。

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